澤井研究室 細胞と細胞組織の自己組織化ダイナミクス
澤井研究室では、細胞や細胞組織が示す時間的空間的なパターンや、それと関連する生物の生き残り戦略とロジックを物理学と数理の視点から理解することを目指しています。動く細胞は驚くほど巧みに、その変形、遊走効率、探索性、指向性を決めることができます。発生や免疫監査に共通する重要な基盤です。細胞性粘菌と動物細胞(ゼブラフィッシュ、ヒト培養細胞)を対象にマイクロ流体デバイスとイメージング解析、力学系理論、光遺伝学などを組み合わせた手法をおもに以下の課題にとりくんでいます。
研究課題
- 細胞の走化性・遊走 : 誘引シグナルの時間的、空間的な差異によって細胞の動く方向はいかに決定するのか?
- 細胞分化と形態形成:細胞型による運動特性、変形の特性の違いはどのように特徴づけられ、何に由来するのか。組織中の配置はいかに決定し、そのことと組織形態の形成はどのような関係にあるのか。
- 細胞集団ダイナミクス:細胞間シグナルと力学の連動によって細胞間の協調的な運動がいかに実現しているのか。
研究キーワード
自己組織化, 細胞間シグナリング, cAMP, ライブセルイメージング, 数理モデル, 定量的生物学, システムバイオロジー, マイクロ流体デバイス, 共焦点顕微鏡,ライトシート顕微鏡, 細胞性粘菌, ゼブラフィッシュ, 好中球
主な発表論文
- T. Fujimori, A. Nakajima, N. Shimada, S. Sawai (2019) Tissue self-organization based on collective cell migration by contact activation of locomotion and chemotaxis Proc. Natl. Acad. Sci. USA 116, 4291-4296.
- A. Nakajima, S. Ishihara, D. Imoto and S. Sawai (2014) Recified directional sensing in long range cell migration. Nat. Commun. 5, 5367.
- T. Gregor, K. Fujimoto, N. Masaki and S. Sawai (2010) The onset of collective behavior in social amoebae. Science 328, 1021-1025.
- S. Sawai, P.T. Thomason and E.C. Cox (2005) An autoregulatory circuit for long-range self-organization in Dictyostelium cell populations. Nature 433, 323-326.
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系 大学院理学系研究科生物学専攻